- そもそもなぜ企業選びの軸って聞かれるの?
- 企業選びの軸を考えるメリットは?
- どのように企業選びの軸を考えればいい?
このような悩みを解決する記事となっています。
企業選びの軸は、効率よく転職活動をしたり、自分に合った企業を選択していくために必要なものとなります。
私自身も以下のように、2回の転職を成功させてきましたので、参考になると思います。
- 1社目:大手商社(4年在籍)⇒ 年収450万円
- 2社目:人材開発会社(8ヶ月在籍)⇒ 年収500万円
- 3社目:IT企業(5年在籍)⇒ 年収900万円
ここでは、企業選びの軸を決める重要性や決めるときの観点や注意点についてご紹介します。
企業選びの軸とは?
基本的に、志望動機を書くときのステップは以下のようになります。
- キャリアで成し遂げたいこと:人生・キャリアを通じて何を成し遂げていきたいのか
- 成し遂げたいと思ったきっかけ:なぜそのようなことをキャリアを通じて成し遂げたいのか
- 企業選びの軸:どのような基準で起業を選んでいるのか
- 企業選びの軸に沿って選択した志望業界:軸に基づいて他にどんな業界を受けているのか
- 取り組みたい仕事:具体的にどんな仕事に取り組みたいのか
- 業界の中でも選択した会社の理由:業界の中でもなぜこの会社なのか
このステップの3番目に当たるのが「企業選びの軸」であり、「企業を選ぶときの自分なりの基準」のことを言います。
企業選びの軸を聞かれる理由
そもそもなぜ企業側は、企業選びの軸を求めてくるのでしょうか。
その理由が分かれば、こちら側もどういったことを意識して企業選びの軸を伝えるべきか見えてくるのです。
企業選びの軸を聞かれる理由
- 志望度の高さを見極めるため
- 自社の価値観とマッチするかを見極めるため
理由1:志望度の高さを見極めるため
企業側としては、応募者に内定を出しても、承諾されなければ意味がありません。
承諾されなければ書類選考や面接の時間と労力の無駄になってしまいますよね。
なので、応募者が「本当に入社してくれそうか」を企業選びの軸から見極めて、時間と労力をかけるべきかかけるべきではないかを判断します。
理由2:自社の価値観とマッチするかを見極めるため
たとえどんなに優秀な人材であっても、価値観が合わなければ退職してしまう可能性があります。
企業側としては早期退職されてしまうと、またコストをかけて採用活動をしなければなりません。
それを防ぐためにも、企業選びの軸を聞いて、自社の価値観とマッチするかを見極めようとするのです。
企業選びの軸を決める重要性
次に、転職希望者側が企業選びの軸を決める重要性について見ていきましょう。
その重要性が分かれば、企業選びの軸を決めるモチベーションにも繋がります。
企業選びの軸を決める重要性
- 効率良く転職活動ができる
- 自分に合った企業選びができる
重要性1:効率良く転職活動ができる
日本には企業が数百万あると言われております。
そのような膨大な数の企業の中から応募する企業を選ぶときに、片っ端から探していくとするとかなりの時間を要してしまいます。
たとえば、賃貸を探すときには、部屋の大きさ、場所、築年数、駅からの距離など何かしらの基準を設けて、希望の賃貸を見ることが可能な数まで絞っていきますよね。
それと同じで、企業選びの軸(=企業を選ぶときの自分なりの基準)を考えることで、応募する企業を絞ることができ、効率良く転職活動ができるようになります。
重要性2:自分に合った企業選びができる
適当に選んだ企業から内定をもらった場合を想定してみましょう。
「自分のスキルにマッチしていない」「仕事へのモチベーションがない」といった不満が出てくることが想定できます。
先ほどの賃貸の例で言うと、何も基準がないと住み始めた後に「2人で住むには狭すぎる」「駅まで遠くて面倒だな」といった不満が出てくるのは当たり前ですよね。
企業選びの軸の決め方の観点
企業選びの軸の決め方の観点は大きく8つあると考えています。
ここでは、営業職を例にとって見ていきたいと思います。
企業選びの軸の決め方の観点
- 企業形態:メーカー営業か代理店営業か商社営業か
- 扱う商材:有形商材か無形商材か
- 営業方法:ルート営業か新規営業か
- 顧客:法人顧客か個人顧客か
- ノルマ:緩いか厳しいか
- 残業:多いか少ないか
- 休み:多いか少ないか
- 年収:高いか低いか
観点1:企業形態(メーカー営業か代理店営業か商社営業か)
その企業の形態が「自社の商品やサービスを顧客に売る(=メーカー営業)」か「自社の商品やサービスを売ってくれる代理店の開拓やサポートする(=代理店営業)」か「他社の商品やサービスを仕入れて顧客に売る(=商社営業)」かということです。
形態がメーカーの場合の営業の仕事内容は、顧客のニーズを把握して、ニーズにマッチした自社の商品やサービスを提案することになります。
提案するものが自社で扱っているものに限られ、提案の自由度が低くなるため、商社営業と比較すると仕事の難易度は低いです。
また、形態が代理店の場合の営業の仕事内容は、商品やサービスを直接顧客へ売ることはなく、代理店の開拓やサポートを行うものになります。
代理店のサポート業務は、代理店へ自社商品やサービスの説明をしたり、キャンペーンを企画して代理店の営業マンのモチベーションを上げる等、代理店が売れる仕組みを作っていきます。
さらに、形態が商社の場合の営業の仕事内容は、主に買い手に対する営業、売り手に対する営業、商品やサービスを探す営業の3つがあります。
特に、買い手に対する営業の場合、提案できるものが多く、提案の自由度が高くなるため、メーカー営業と比較すると仕事の難易度は高いです。
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観点2:扱う商材(有形商材か無形商材か)
その企業の扱っている商材が「形のある商材を扱う(=有形商材)」か「形のない商材を扱う(=無形商材)」かということです。
商材が有形の場合の営業の仕事内容は、顧客の要望に合った自社の商品を提案することになります。
提案するものが自社の商品に限られるので、提案の自由度が低くなり、いかに自社の商品知識を身につけるかが大事になってきます。
一方、商材が無形の場合の営業の仕事内容は、顧客の課題に対して、課題解決策そのものを提案することになります。
提案するものが課題解決策そのもの(アイデアも含めて)になるので、提案の自由度が高くなり、より問題解決能力といったものが求められてきます。
観点3:営業方法(ルート営業か新規営業か)
その企業の営業方法が「既に取引のある顧客に対して、定期的に仕事の依頼を受ける(=ルート営業)」か「全く取引のない顧客に対して、新しく仕事の依頼を受ける(=新規営業)」かということです。
営業方法がルートの場合の営業の仕事内容は、自分が担当しているいくつかの既存顧客を定期的に訪問して、現在取引しているものを死守しながら、新しい商品やサービスの提案をして、少しづつ売上アップを目指していきます。
既に一定の信頼関係がある顧客とのやり取りとなるため、新規営業と比較すると仕事の難易度は低くなります。
一方、営業方法が新規の場合の営業の仕事内容は、誰に、どうやってアプローチするかから検討をして、アポイントを取得し、顧客と打合せをして、相手のニーズを引き出し、提案して受注を目指していきます。
全く信頼関係がない顧客から仕事の依頼を受けるため、ルート営業と比較すると仕事の難易度は高くなります。
観点4:顧客(法人顧客か個人顧客か)
その企業の顧客が「企業などの団体(=法人)」か「一般家庭の方(=個人)」かということです。
顧客が法人の場合の営業の仕事内容は、一件あたりの商談の登場人物が多くなってくるので、一件あたりの商談のリードタイムも長くなってきます。
また、法人は組織で商品やサービスの購入の意思決定をするので、購入することによってどのような利益をもたらすかを論理的に伝えていく必要があり、論理的思考力がかなり必要となります。
一方、顧客が個人の場合の営業の仕事内容は、一件あたりの商談の登場人物は少なくなってくるので、一件あたりの商談のリードタイムも短くなってきます。
こちらは個人的な感情で商品やサービスの購入の意思決定をするので、購入するメリットを論理的に伝えるより、感情に訴えかけていく人間力が必要になってきます。
観点5:ノルマ(緩いか厳しいか)
その企業のノルマが「緩い」か「厳しい」かということです。
基本的にノルマが緩いか厳しいかは、営業方法がルート営業か新規営業か、顧客が法人営業か個人営業かによる傾向があります。
要は、ルート営業×法人営業であるメーカー業界/インフラ業界はノルマが緩い傾向にあり、新規営業×個人営業である不動産業界/保険業界/金融業界はノルマが厳しい傾向にあるということです。
観点6:残業(多いか少ないか)
その企業の残業が「多い」か「少ない」かということです。
求人情報・転職サイトの「doda」によると、営業職種毎の平均残業時間は以下の通りです。
営業職種 | 残業時間 |
営業(金融) | 25.5時間 |
営業(IT) | 25.7時間 |
営業(商社) | 25.8時間 |
営業(メーカー) | 27.3時間 |
営業(メディカル) | 29.1時間 |
営業(サービス業) | 31.8時間 |
営業(建設/不動産) | 35.8時間 |
営業(小売/卸/外食) | 38.5時間 |
営業(広告・メディア) | 41.9時間 |
出典:残業の多い職業・少ない職業は?全80業種、95職種別の残業時間調査!(doda)
基本的に残業時間が多いか少ないかは、個人営業(=外食、不動産、サービス業など)か顧客が法人営業(=IT、商社、メーカーなど)かによる傾向があります。
サービス業、不動産などの一般家庭などの顧客を相手にする個人営業の場合は、相手が休みの時間に合わせてテレアポや面談をするケースが多いため、残業が多くなると言われています。
観点7:休み(多いか少ないか)
その企業の休みが「多い」か「少ない」かということです。
求人情報・転職サイトの「doda」によると、営業職種毎の平均年間休日数は以下の通りです。
営業職種 | 年間休日数 |
営業(メディカル) | 128.1日 |
営業(IT) | 124.3日 |
営業(商社) | 123.4日 |
営業(メーカー) | 123.1日 |
営業(金融) | 122.1日 |
営業(サービス業) | 118.9日 |
営業(広告・メディア) | 116.3日 |
営業(小売/卸/外食) | 112.0日 |
営業(建設/不動産) | 110.2日 |
出典:残業の多い職業・少ない職業は?全80業種、95職種別の残業時間調査!(doda)
基本的に年間休日数が多いか少ないかは、顧客が法人営業(=メディカル、IT、商社、メーカーなど)か個人営業(=不動産、外食、サービス業など)かによる傾向があります。
法人営業は、顧客がカレンダー通りの休みとなるので、それに合わせる形で休みとなりますが、個人営業は、顧客とコンタクト取りやすいお盆や年末年始などの長期休みが稼ぎ時となるため、休みが取れなくなり、どうしても休日が少なってしまうからです。
観点8:年収(高いか低いか)
その企業の年収が「高い」か「低い」かということです。
求人情報・転職サイトの「マイナビagent」によると、営業の種類毎の平均年収は以下の通りです。
営業の種類 | 平均年収 |
管理職・マネージャー(営業系) | 528万円 |
海外営業・貿易営業 | 513万円 |
営業企画・営業推進 | 490万円 |
法人営業 | 447万円 |
個人営業 | 424万円 |
代理店営業 | 423万円 |
ルートセールス | 403万円 |
内勤営業・カウンターセールス | 366万円 |
基本的に年収が高いか低いかは、企業形態がメーカー営業か代理店営業か商社営業か、営業方法が新規営業かルート営業か、顧客が法人営業か個人営業かによる傾向があります。
法人営業と個人営業の場合は、法人営業の方が大きなお金が動くことが平均年収が高い傾向となっており、ルート営業の場合は、仕事の難易度が低いため、年収が低く設定されていると推察できます。
企業選びの軸の決め方の注意点
先ほどの5つの軸で見ていったときに、おそらくあなたにとって重要ではない軸もあったのではないでしょうか。
その場合は、思い切って除外してしまいましょう。
企業選びの軸の決め方の注意点
- 軸に優先順位をつける
- きっかけとなる経験とセットで考える
注意点1:軸に優先順位をつける
たとえば、私の場合は「顧客は法人顧客、商材は無形商材」であることが優先順位の高い軸でした。
一方で、他の軸である「業界変化、人との関わり、キャリア」というのはあまり重要な要素ではなかったので、優先順位をかなり低くしていました。
このように優先順位をつけることで、その条件に合う「IT業界、総合商社、広告代理店」などと、ある程度当たりをつけた上で、業界比較を行って、企業比較を行うといった形で進めることができました。
注意点2:きっかけとなる経験とセットで考える
企業選びの軸に根拠がなければダメです。
要は、たとえば企業選びの軸が「無形」であったとしても、その理由が「なんとなく」「かっこよさそうだから」ではダメだということです。
このように根拠がなければ企業側は、企業選びの軸を聞く理由で見たように「志望度が低いな」「自社の価値観とマッチしなそうだな」と判断してしまいます。
しかし、一方で、「過去に〇〇という経験をしてきたために無形で~」と語ることができれば、説得力が増しますよね。
そのため、必ず企業選びの軸ときっかけとなる経験はセットで考えるようにしましょう。
まとめ
本記事のまとめ
- 企業選びの軸とは?:企業を選ぶときの自分なりの基準
- 企業選びの軸を聞かれる理由:①志望度の高さを見極めるため、②自社の価値観とマッチするかを見極めるため
- 企業選びの軸を決める重要性:①効率良く転職活動ができる、②自分に合った企業選びができる
- 企業選びの軸の決め方の観点:①顧客(法人顧客か個人顧客か)、②商材(有形商材か無形商材か)、③業界変化(緩やかか激しいか)、④人との関わり(一人かチームか)、⑤キャリア(ゼネラリストかスペシャリストか)
- 企業選びの軸の決め方の注意点:①軸に優先順位をつける、②きっかけとなる経験とセットで考える