- 有形商材の営業って何?
- 有形商材の営業の仕事内容は?
- 必要なスキルややりがいってどうなの?
このような悩みを解決する記事となっています。
有形商材の営業は、営業商材別の一つで、同じ分類である無形商材の営業とは仕事内容が大きく異なります。
そのため、私の10年間3社での営業経験を基に、無形商材の営業と比較しながら見ていくことにしましょう。
ここでは、有形商材の営業の定義や仕事内容、やりがい、きついところ等についてご紹介します。
有形商材の営業とは?
有形商材の営業とは?について、以下の2つの軸で見てきましょう。
- 種類:営業商材別の一つ
- 定義:形のある商材を扱う営業
種類:営業商材別の一つ
営業には形態別の「メーカー営業/代理店営業/商社営業」、商材別の「有形営業/無形営業」、方法別の「ルート営業/新規営業」、顧客別の「法人営業/個人営業」があります。

この中でも有形商材の営業は商材別の一つに分類されるものになり、その他の商材別に「無形商材の営業」と呼ばれるものがあります。
- 有形営業:形のある商材を扱う営業
- 無形営業:形のない商材を扱う営業

有形商材の営業と無形商材の営業の違いは、扱うものが「形のある商材」なのか「形のない商材」なのかといった違いがあります。
定義:形のある商材を扱う営業
有形商材の営業とは「形のある商材を扱う営業」となります。
有形商材の営業の例としては以下のようなものがあります。
- 自動車部品メーカーの営業:自動車会社へ自社の自動車部品を売る
- 機械代理店・商社の営業:法人顧客へ他社の機械を売る
- 自動車ディーラーの営業:個人顧客へ自動車を売る
車、服、食品といったように目に見える商品を扱う営業となります。

また、先ほどの図の通り、有形商材の営業には、全部で8種類(代理店営業も含めると9種類)の所属先があります。
有形商材の営業の仕事内容

同じ商材別の無形商材の営業との比較でいうと、有形商材の営業は提案の自由度が低くなります。
たとえば、企業向けにパソコンを売る営業の場合を想定してみましょう。
総務担当者の「予算はいくらか」「サイズはどのくらいか」「どんな機能が必要か」といったニーズを把握して、どのシリーズの、どの機種のパソコンを提案するか検討します。
このように、提案するものが扱っている商品に限られ、提案の自由度が低くなるため、仕事の難易度としては低くなります。
有形商材の営業に必要なスキル
営業の種類に関わらず、営業に必要なスキルは以下のようになります。
- 仮説思考力
- 論理的思考力
- 確率思考力
- PDCA力
同じ商材別の無形商材の営業との比較でいうと、有形商材の営業は以下のスキルが必要となります。
- 商品知識
スキル:商品知識
有形商材の営業では、顧客のニーズを知り、それに合った商品を提案する営業で、売る商品が決まっているので、何をヒアリングしたらいいかも決まっています。
そして、そのヒアリング事項に合わせて、自社の商品を提案するので、商品に対する深い知識とそれを上手く伝えることが重要になります。
そのため、いかに商品を覚えるかがポイントになるわけです。

このように、有形商材の営業は、営業マンによって、商品のスペック、商品の価格などを変えることができず、商品の良し悪しで売れる売れないが決まってしまう点があります。
有形商材の営業に向いてる人の特徴
営業の種類に関わらず、営業に向いてる人の特徴は以下のようになります。
- コミュニケーションが好きな人
- 主体的な人
- 目標達成思考がある人
- 洞察力がある人
- ストレス耐性がある人
同じ商材別の無形商材の営業との比較でいうと、有形商材の営業に向いてる人の特徴は以下のようになります。
- 商品に愛着がある人
特徴:商品に愛着がある人
私の経験上、商品に愛着(興味関心)があった方が断然向いていると思います。
一社目の会社では、配属された部署が工場用の機械を扱っていたのですが、やはりある程度複雑な機械の仕組みを理解しないことには売るのは難しかったのです。
しかし、その機械に全く愛着がなかった私には、その機械の仕組みを学ぶモチベーションが生まれず、苦労したことを思い出します。
有形商材の営業に向いてない人の特徴
営業の種類に関わらず、営業に向いてない人の特徴は以下のようになります。
- コミュニケーションが苦手な人
- 受け身な人
- 初動が遅い人
- 一人で悩みを抱えてしまう人
- 個人プレーが好きな人
同じ商材別の無形商材の営業との比較でいうと、有形商材の営業に向いてない人の特徴は以下のようになります。
- 商品知識を身につけるモチベーションがない人
特徴:商品知識を身につけるモチベーションがない人
先ほどからお伝えしている通り、有形営業は商品知識を身につけることが必須となります。
また、一つの商品だけでなく、複数の商品を扱う場合がほとんどであり、かつ、各商品毎で売上目標が決まっているので、自分の全く興味のない商品の知識も身につけて売らなければなりません。
そのため、その商品知識を身につけるモチベーションがないと辛いです。
「〇〇商品が好き」「〇〇商品は本当に便利なものだから世の中に広めたい!」「営業成績でNo.1になってやる!」等、商品知識を身につけなければならないモチベーションがあることが大事です。
単純な商品であれば問題ありませんが、技術など深い知識が必要なものは尚更です。
「そんなことか」と思われるかもしれませんが、これは有形営業時代に私が最も苦労したポイントでした。
有形商材の営業のやりがい
営業の種類に関わらず、営業で感じるやりがいは以下のようになります。
- 成果が数字に現れる
- 人との繋がりが増える
- 人とのコミュニケーションが上手くなる
- 汎用的なスキルが身につく
同じ商材別の無形商材の営業との比較でいうと、有形商材の営業は以下のやりがいを感じることができます。
- 成果が目に見える
- 仕事に愛着が湧きやすい
やりがい1:成果が目に見える
成果が目に見えるとモチベーションも上がりますよね。
有形商材の営業は、形のある商材を扱っているため、商品が売れると成果が目に見えます。
食品を扱っているのであれば店頭に行けば自分の成果が見えますし、家を扱っているのであれば街に行けば自分の成果が見えます。

このように、世の中に目に見える形で自分の成果が現れるのは嬉しいものです。
やりがい2:仕事に愛着が湧きやすい
形のある商材を扱っている分、その商材や仕事自体にも愛着が湧きます。
「この商品かなり使いやすいから〇〇さんに教えてあげよう!」といったことが普段の生活でもあると思います。
それと同様のことが有形商材の営業にもあって、「もっと色々な人に使って欲しいな!」「世の中に広めていきたい!」といったことが原動力になったりします。
有形商材の営業のきついところ
営業の種類に関わらず、営業で感じるきついところは以下のようになります。
- ノルマに追われる
- 残業が多い
- 大半が断られる
- 苦手な人からも逃げることができない
- 社内調整が多い
- 人を動かさなければならない
同じ商材別の無形商材の営業との比較でいうと、有形商材の営業は以下のきつさを感じることがあります。
- 商品知識を身につける必要がある
- 興味のない商品も売らなければならない
きついところ1:商品知識を身につける必要がある
当たり前のことですが、商品知識を身につけて顧客に説明できなければなりません。
これは扱う商材が複雑であればあるほど、扱う商材が多くなればなるほど大変になってきます。
扱う商材が複雑というのは、「機械」のような専門知識が必要になるもののことで、たとえば、ロボットを扱う場合、そのロボットの部品であったり、力学や電気工学の知識も学ぶ必要があります。

その商品自体に全く興味がないと、それを学ぶモチベーションも生まれないので、売れと言われているから売っている状態ではきつくなってしまいます。
きついところ2:興味のない商品も売らなければならない
営業は、顧客の課題を解決するために、商品やサービスを提供するべきです。
しかし、その本質とずれてしまう場合があります。
どこの企業においても「〇月までに〇円の売らなければいけない」といった目標が商品毎に決められているケースがほとんどです。
そのため、会社、自分の目標を達成するために、押し売りをせざる得ない場面が出てきます。

それは営業の本質ではないですし、顧客から嫌がられる可能性があります。
有形商材の営業の残業
有形商材か無形商材の営業かで残業時間が異なるのではなく、相手にしている顧客によって異なります。
dodaのデータによると、以下のようになっています。
営業職種 | 残業時間 |
---|---|
営業(金融) | 25.5時間 |
営業(IT) | 25.7時間 |
営業(商社) | 25.8時間 |
営業(メーカー) | 27.3時間 |
営業(メディカル) | 29.1時間 |
営業(サービス業) | 31.8時間 |
営業(建設/不動産) | 35.8時間 |
営業(小売/卸/外食) | 38.5時間 |
営業(広告・メディア) | 41.9時間 |
個人営業が含まれるサービス業、建設/不動産等は残業が多くなっています。
これは個人営業は一般家庭の方を相手にしており、その人の仕事が終わった時間や休みである土日祝日に電話や商談をしているからと考えられます。
このように、残業については、どの商材を扱うかではなく、法人顧客を相手にするか個人顧客を相手にするかで異なる傾向があります。
有形商材の営業の休み
残業と同じく休みについても、扱う商材ではなく相手にする顧客で異なります。
dodaのデータによると、以下のようになっています。
営業職種 | 年間休日数 |
---|---|
営業(メディカル) | 128.1日 |
営業(IT) | 124.3日 |
営業(商社) | 123.4日 |
営業(メーカー) | 123.1日 |
営業(金融) | 122.1日 |
営業(サービス業) | 118.9日 |
営業(広告・メディア) | 116.3日 |
営業(小売/卸/外食) | 112.0日 |
営業(建設/不動産) | 110.2日 |
個人営業が含まれる金融、サービス業、建設/不動産等になると年間休日数が少なくなっていきます。
先ほどの残業でお伝えした通り、一般家庭の方の休みに合わせて営業するため、休みが少なくなってしまいます。
有形商材の営業の年収
有形商材と無形商材の年収については、年齢や業種によっても違いがあるようです。
ミイダスの調査からまずは年齢による両者の違いについて見ていきましょう。
年齢 | 有形営業 | 無形営業 |
---|---|---|
~24歳 | 309万円 | 300万円 |
~29歳 | 387万円 | 394万円 |
~34歳 | 449万円 | 460万円 |
~39歳 | 476万円 | 475万円 |
~44歳 | 508万円 | 507万円 |
~49歳 | 551万円 | 547万円 |
~54歳 | 582万円 | 551万円 |
~59歳 | 636万円 | 574万円 |
~65歳 | 669万円 | 612万円 |
20代~30代前半までは無形営業の方が年収が高く、年齢が高くなればなるほど、無形営業<有形営業の差は広がっていく傾向になるようです。
次に、業種による両者の違いについてです。
有形/無形 | 業種中分類 | 業種小分類 | 平均オファー年収 |
---|---|---|---|
有形 | メーカー(電機/機械) | メーカー(自動車部品) | 876.5万円 |
有形 | メーカー(電機/機械) | メーカー(複写機/プリンタ) | 725万円 |
無形 | 建設/プラント/不動産 | ディベロッパー | 714万円 |
無形 | 金融 | その他サービス | 713万円 |
無形 | コンサル/リサーチ | 証券会社 | 694.5万円 |
無形 | 金融 | コンサル(シンクタンク系) | 675万円 |
無形 | 金融 | その他金融(共済保険会社/郵便局/他) | 614.5万円 |
無形 | IT/通信 | リース | 614万円 |
無形 | サービス(人材/教育/旅行/冠婚葬祭) | 旅行/旅行代理店 | 596万円 |
無形 | ネット/広告/メディア/ゲーム/マスコミ | 専門広告代理店(インターネット広告) | 596万円 |
また、業種によってもかなり違うがあるようなので、一概にどちらが高い低いとは言い切れないですね。
まとめ
本記事では、有形商材の営業の定義や仕事内容、必要なスキル、やりがい、きついところについて紹介しました。

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