- 提案営業って何?
- 提案営業のメリットとデメリットは?
- 提案営業ってどうやってやるの?
このような悩みを解決する記事となっています。
提案営業は、営業手法の一つで最も基本的な営業スタイルになります。
にもかかわらず、提案営業の意味を正しく理解していなかったり、間違ったやり方をして成果が上がらない人がいます。
ここでは、提案営業の定義やメリットとデメリット、具体的なやり方についてご紹介します。
提案営業とは?
提案営業とは?について、以下の2つの軸で見てきましょう。
- 種類:営業手法の一つ
- 定義:顧客の課題を解決する商品やサービスを売る営業
種類:営業手法の一つ
営業の所属先には形態別の「メーカー営業/代理店営業/商社営業」、商材別の「有形営業/無形営業」、方法別の「ルート営業/新規営業」、顧客別の「法人営業/個人営業」があります。

また、営業のやり方には、手法別の「御用聞き営業/提案営業/ソリューション営業」、アプローチ別の「飛び込み営業/電話営業/紹介営業/反響営業」があります。

この中でも提案営業は手法別の一つに分類されるものになり、他の手法に「御用聞き営業」「ソリューション営業」と呼ばれるものがあります。
ちなみにこの提案営業は、基本的にはルート営業と新規営業のどのアプローチにおいても適用できる手法となります。
- 御用聞き営業:御用を聞いて指定された商品やサービスを売る営業
- 提案営業:顧客の課題を解決する商品やサービスを売る営業
- ソリューション営業:顧客の課題に対して商品やサービスを含んだ解決策を売る営業
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顧客が課題に対して解決策を分かっている場合は、営業は顧客が要求する商品やサービスを提供するだけとなります。これが「御用聞き営業」です。
一方で、顧客が課題に対して解決策を分かっていない場合は、営業側から課題を解決する商品やサービスを提供していきます。これが「提案営業」「ソリューション営業」です。

御用聞き営業<提案営業<ソリューション営業と難易度は上がっていきますが、それだけ売上規模が多くなったり、顧客からの信頼を得られます。
定義:顧客の課題を解決する商品やサービスを売る営業
提案営業とは「顧客の課題を解決する商品やサービスを売る営業」と定義できます。
あくまで「課題を解決するもの」を提供するべきであって、課題も把握せずに「うちの商品を買ってください!」とこちらから一方的に提案するものとは違いますし、それは営業の本質ではありません。
提案営業は、大きくは「課題を特定する」という行為と、「その課題を解決できる商品やサービスを提案する」という行為と2つに分けることができます。
一つ目の「課題を特定する」については、顧客が既に課題を認識している(顕在化した課題)場合と、顧客がまだ課題を認識していない(潜在的な課題)場合があります。
前者の場合は、「課題は何ですか?」と投げかければ把握できるのですが、後者の場合は、聞き出した周辺情報から課題を特定していくお手伝いをすることもあります。
二つ目の「その課題を解決できる商品やサービスを提案する」については、特定した課題を解決できる商品やサービスを検討して提案していきます。
提案営業が生まれた背景
提案営業が生まれた背景としては、モノや情報が溢れている時代になったためです。
顧客が欲しいと思うモノは、もはやひと通り普及してしまいました。
また、インターネットでは、商品やサービスの情報が溢れており、顧客も商品知識に詳しくなっています。
そのため、特に機能や仕様が標準化されているものは、顧客自身でインターネットを通じて安く購入してしまうようになってしまいました。
このような時代に、「必要なものはありませんか?」と聞いて回る御用聞き営業では価値がなくなり、提案営業やソリューション営業が求められるようになってきました。
提案営業のメリットとデメリット
次に、提案営業のメリットとデメリットを解説していきます。
提案営業のメリット
提案営業のメリットは以下の2つになります。
- 売上をある程度コントロールできる
- 営業としての価値が上がる
メリット1:売上をある程度コントロールできる
顧客が課題を抱えている数だけ、売上を上げられるチャンスがあります。
御用聞き営業の場合は、顧客に「必要なものはありませんか?」と聞いて、その答えが「ない」となれば売上を上げることができず、「ある」となれば売上を上げることができます。
そのため、売上は全て顧客次第になってしまうというデメリットがあります。
しかし、「ない」という意味には、本当に必要ない場合もありますし、課題はあるけどそれを解決するために必要な商品やサービスが分かっていない場合もあります。
後者の場合は、御用聞きでは売上を上げることが難しいですが、提案営業では課題を特定して、その課題を解決する商品やサービスを提案できる機会が生まれるので、売上を上げられる可能性を秘めています。
メリット2:営業としての価値が上がる
顧客にとって必要な存在になり得ます。
御用聞き営業の場合は、指定された商品やサービスを持ってくるだけの営業でした。
そのため、正直どの営業マンでもできる仕事となり、顧客に対しても商品やサービスを持ってくる以外の価値を提供できていないので、競合他社に負けてしまう可能性があります。
しかし、提案営業の場合は、課題の特定のお手伝いをしたり、その課題を解決できる商品やサービスを提案するので、営業としての価値が上がります。

営業としての価値が上がれば、顧客からも信頼されて、それが売上にも繋がります。
提案営業のデメリット
提案営業のデメリットは以下の2つになります。
- 時間とコストがかかる
- 煙たがられるリスクがある
デメリット1:時間とコストがかかる
提案営業はすぐには売上に繋がりません。
顧客の課題を特定するところから始まり、その課題を解決できる商品やサービスを検討して、それがなぜ課題を解決できるのかを提案する行為は、一日二日でできることではなく、商品やサービスによっては数週間、数カ月かかることもあります。
そのため、短期的に売上を上げるということができません。

目標から逆算して計画的に営業活動をしていく必要があります。
デメリット2:煙たがられるリスクがある
顧客によっては、積極的に営業すると煙たがられることもあります。
たとえば、「課題は何ですか?」とか「御社にはこの商品が良いと思います!」と積極的すぎると、「この営業しつこいな」と思われてしまうことがあります。
そうなると、今後の商談に影響が出たり、他社に切り替えられることにもなり兼ねません。
現状維持をよしとする顧客に対しては、御用聞き営業をするという選択が最適な場合もあります。

そのため、顧客のタイプを見ながら、営業手法を使い分けていかなければなりません。
提案営業の5つのステップ
ここからは具体的な提案営業のやり方について解説します。
提案営業は以下の5つのステップで進めていきます。
- ニーズの仮説構築
- アプローチ
- ヒアリング
- 提案のコンセプトを提示
- プレゼン・クロージング
ステップ1:ニーズの仮説構築
顧客のニーズについて、「〇〇の課題があり、△△の解決策が良いのではないか」と、顧客にアプローチする前にあらかじめ当たりをつけておきます。
このように、ニーズの仮説構築をすることによって、次ステップ以降のアプローチが成功する確率が上がる、ヒアリングの質が上がるといったメリットがあります。
ただし、特に新規営業の場合は、ニュース記事や中期経営計画等の様々な情報源からニーズの仮説構築をしていくことになるので、かなり難易度が高いものになります。
ステップ2:アプローチ
なんとなくアプローチしては誰も話を聞いてくれません。
「誰に、どんな手段で、どんな内容で」を決めた上で、アプローチをしなければなりません。
「誰に」というのは、可能な限り決裁者にアプローチしなければなりません。
また、「手段」は「訪問、電話、メール」等どの方法でアプローチをするのか、それぞれの特徴を見極めながら選択していきます。
さらに、「内容」は「この営業マンに会ったらいいことがありそうだ!」と思ってもらえるような会話をする必要があります。
ステップ3:ヒアリング
ステップ1で行った「ニーズの仮説構築」が正しかったのか検証をしていきます。
上手にヒアリングをすることで、本当に解決すべきものが見えてきたり、提案の規模が大きくなる可能性があります。
ヒアリングのポイントは「目的をさかのぼる」、「目的を具体化する」の2つあります。
ある特定の商品を欲していたり、「〇〇をして課題を解決したい」と言われた場合は、「それはなぜですか?」と質問をして本来の目的を突き止めていきます。
一方で、「収益を最大化したい」と目的を言われた場合、「そのためにはどうしますか?」と質問をして提案すべき商品や解決策を見極めていきます。
ステップ4:提案のコンセプトを提示
具体的なプレゼンをする前に、提案の方向性を事前に提示します。
これを事前にすることによって、的外れなプレゼンを避けたり、自社の得意領域に持ち込めるといったメリットがあります。
提案のコンセプトには、「解決策の方針と範囲」「顧客の戦略との関係性」「他の解決策との差別化」「解決策ともたらされる収益との関係性」を盛り込んでいきます。
ステップ5:プレゼン・クロージング
ようやくプレゼンやクロージングに入っていきます。
ここが最も重要だと考える人もいますが、ステップ4まで正しくできていなければプレゼンも質の低いものになりますし、逆にステップ4まで正しくできていれば比較的簡単なステップとなります。
独りよがりの提案ではなく、顧客の課題を解決する提案になっているか、顧客が求めているものとのギャップは何か、それを埋めるためにはどうすれば良いのか考えていきます。
まとめ
本記事では、提案営業の定義やメリットとデメリット、具体的なやり方やコツについて紹介しました。

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