- 営業と販売の違いを知りたい!
- 営業と販売の仕事内容の違いがわからない?
- 求められるスキル、年収なども変わってくるの?
このような悩みを解決できる記事となっています。
直接顧客と接点がある職業として営業と販売がありますが、これらの違いがよく分からないという人も多いと思います。
ここでは、営業と販売の違いである、顧客、仕事の範囲、求められるスキル、休日、年収の5つの観点についてご紹介します。
営業と販売の定義
まずは、そもそも営業と販売の定義について確認してみましょう。
出典:ウィキペディア(Wikipedia)
- 営業(えいぎょう):営利を目的として業務を行うことをいう。ここから転じて、ある特定の行為が営業と言い習わされている。また企業活動の集合体をさす言葉としても用いられる。
- 販売(はんばい):商品を顧客に売る(所有権を移転する)行為を指す。 販売を主たる事業として行っている業態を販売業と呼び、販売を行う業者を販売業者と呼ぶ。
営業は「営利(=かねもうけ)を目的とした業務」ということなので、自社の商品を販売するだけではなく、それに付随した業務全般も含まれるということです。
一方、販売は「商品を顧客に売る行為」ということなので、営業の一部の業務を担っているということになります。
少し別の言い方で言うと、以下のようになります。
- 営業:顧客へ自らアプローチをして商品を売る
- 販売:お店に来店した顧客に対して商品を売る
営業の定義:顧客へ自らアプローチをして商品を売る
営業の具体的な仕事には以下のようなものがあります。
- IT企業の営業:法人へITシステムを売る
- 工作機械メーカーの営業:法人へモノを作るための機械を売る
- 人材会社の営業:法人へ研修サービスを売る
- 証券会社の営業:法人、個人へ金融商品を売る
- 住宅メーカーの営業:個人へ家を売る
このように、営業の仕事は法人と個人の顧客を対象としており、営業からアプローチすることがほとんどです。
顧客側からすると、いきなり営業からアプローチされることが多く、全く商品を知らなかったり、興味のない状態から会話がスタートしていきます。

ここが営業の難しいところなんです。
販売の定義:お店に来店した顧客に対して商品を売る
販売の具体的な仕事には以下のようなものがあります。
- 美容室の販売:個人へカットのサービスを売る
- アパレルブランドの販売:個人へ洋服を売る
- 旅行代理店の販売:個人へ旅行サービスを売る
- 通信キャリアの販売:個人へ携帯サービスを売る
- 住宅メーカーの販売:個人へ家を売る
このように、販売の仕事は基本的に個人の顧客を対象としており、顧客からアプローチされることになります。
顧客側からすると、既にホームページなどで商品を知っていたり、興味のある状態から会話がスタートしていきます。

販売が法人を対象とすることはほとんどないです。
営業と販売の共通点
営業と販売の共通点について見ていきましょう。
先ほどの営業と販売の定義に沿うと、両者の共通点は以下のように言うことができます。
- 顧客に商品売る
共通点:顧客に商品を売る
営業も販売も「顧客に商品を売る」という行為は共通しています。
そして、その「顧客に商品を売る」を分解すると、顧客と直接接点を持ち、顧客に利益を与えて、正当な対価を頂くということになります。
「顧客と直接接点を持ち」は、今や商品を売ることはネット等で完結してしまいますが、そうではなく直接顧客と対面でのやり取りをするということです。
「顧客に利益を与えて」は、こちらの売りたいものを売るのではなく、顧客の求めているものを理解して、求めているものを提供して、顧客へ価値を提供していかなければなりません。
「正当な対価を頂く」は、与えた利益に対して正当な報酬を得るということで、10万円の価値があるものなら10万円をもらうべきであり5万円ではダメで、会社にもしっかりと利益が残るようにする必要があります。
営業と販売の違い
次に、営業と販売の違いについて見ていきましょう。
もちろん、細かく見ていったらもっと違いがあるかもしれませんが、以下の5つをご紹介します。
- 顧客
- 仕事の範囲
- 求められるスキル
- 休日
- 年収
違い1:顧客
一つ目の違いは、相手にする顧客の購買意欲の大きさです。
- 営業:顧客の購買意欲が低い
- 販売:顧客の購買意欲が高い
この違いについては、消費者の購買決定プロセスを説明するAIDMA(アイドマ)から見ると分かりやすいです。
出典:AIDMA(アイドマ)とは・意味(グロービス経営大学院)
営業は顧客へ自らアプローチをするので、そもそもその商品を知らない、興味はない、欲しくはない(=購買意欲が低い)といった状態にある顧客を相手にします。
あなたも営業から「うちの金融商品はいかがでしょうか?」等と言われて経験があるかもしれませんが、そのときは全く知らないので購買意欲は湧かないですよね。それと同じです。
一方、販売は顧客からアプローチされるので、商品を知っている、興味がある、欲しい(=購買意欲が高い)といった状態にある顧客を相手にします。
あなたが携帯ショップや旅行代理店等に行くときは、既にある商品に興味があったり、欲しくなっていて、購買意欲は高くなっていると思います。

この相手にする顧客が違うために、仕事の範囲も違ってくるのです。
違い2:仕事の範囲
二つ目の違いは、仕事の範囲の大きさです。
- 営業:仕事の範囲が広い
- 販売:仕事の範囲が狭い
営業は、顧客がAIDMAの最初のプロセスである「A(注目)」から最後のプロセスである「A(行動)」に至るように営業活動をする必要があるため、仕事の範囲が広くなるのです。
もう少し具体的に言うと、以下の5つのステップを踏む必要があります。
- リスト選定
- ニーズの仮説構築
- アプローチ
- 面談(雑談/ヒアリング/仮提案)
- プレゼン・クロージング
そもそも顧客との接点がない状態からスタートするので、どの顧客にアプローチすべきかを決める「リスト選定」、事前に欲しいであろうものを推定する「ニーズの仮説構築」、電話や飛び込みなどによる「アプローチ」をしなければなりません。
そして、無事に話をする機会を得ることができれば、自社の商品の紹介や興味を持ってもらえたり、欲しいと思ってもらえるようコミュニケーションする「面談」、購入の決断をしてもらう「プレゼン・クロージング」を行っていきます。
一方、販売は、顧客が既にAIDMAの「D(欲求)」~「A(行動)」の状態でお店に来るので、営業よりは仕事の範囲が狭くなります。
要は、「面談」や「プレゼン・クロージング」からが販売の仕事の範囲になるということです。
違い3:求められるスキル
三つ目の違いは、求められるスキルの幅と難易度です。
- 営業:求められるスキルの幅が広く、難易度が高い
- 販売:求められるスキルの幅が狭く、難易度が低い
先ほどの違い1,2で見たように、営業は、顧客の購買意欲が低い状態から購入の決断をしてもらうようにするので、求められるスキルの幅が広くなり、難易度も高くなります。
たとえば、「うちの金融商品はいかがでしょうか?」とだけ言うのではなく、「おそらく〇〇で悩んでいると思うのですが、それは〇〇の解決策だと今より〇〇%改善されます!」といったようにコミュニケーションをしなければなりません。
なので、営業は顧客に悩みを気づいてもらう能力だったり、価値を分かってもらえるようなプレゼン能力が必要になってくるのです。
一方、販売は、既に顧客の購買意欲が高い状態なので、求められるスキルの幅が狭くなり、難易度も低くなります。
あなたが携帯ショップや旅行代理店等に行くときは、おそらく自分で悩みや要望を既に把握しているため、販売員に対しては質問に的確に答えてもらったり、マニュアル通りの対応をしてくれたり、愛想が良かったりを期待しますよね?

このように営業と販売は、相手にする顧客が違うことから求められるも違ってくるのです。
違い4:休日
四つ目の違いは、休日となる曜日です。
- 営業:休日は土日祝休みであることが多い
- 販売:休日は不定期であることが多い
特に法人営業の場合は、土日祝日休みの法人を相手にするため、それに合わせる形で土日祝日休みであるケースがほとんどです。
一方、販売は、個人顧客を対象とした店舗で働くことになるため、土日に出勤することがほとんどで、休みは不定期となりやすいです。
なので、どのように休みを取りたいかという視点で、営業か販売かを選ぶことも重要になってきます。
違い5:年収
五つ目の違いは、年収の高さです。
- 営業:年収は販売より高い傾向
- 販売:年収は営業より低い傾向
これは四つ目の求められるスキルが違うことにも依存します。
先ほど見たように、営業は、求められるスキルの幅が広く難易度が高いということもあり、それだけ市場価値も高くなるため、年収も高くなる傾向にあります。
また、歩合制(=成果に応じて給与が支払われるという制度)を採り入れている企業も多く、成績によっては年収がアップする仕組みがあるからです。
dodaのデータによると、以下のようになっています。
職種 | 平均年収 |
---|---|
専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 574万円 |
企画/管理系 | 511万円 |
技術系(電機/電子/機械) | 469万円 |
技術系(IT/通信) | 457万円 |
営業系 | 440万円 |
技術系(建築/土木) | 427万円 |
金融系専門職 | 410万円 |
技術系(メディカル/化学/食品) | 409万円 |
クリエイティブ系 | 377万円 |
事務/アシスタント系 | 329万円 |
販売/サービス系 | 328万円 |
営業系の平均年収440万円に対して、販売/サービス系の平均年収は328万円となっており、112万円高いことが分かりますね。
一方、販売は、店舗の売上が上がっても、販売職に還元されることはほとんどないため、年収が低くなる傾向にあります。
営業と販売に向いている人の特徴
営業と販売に向いている人の特徴についてご紹介します。
営業に向いている人の特徴5選
営業に向いている人の特徴は以下の5つがあると考えています。
- コミュニケーションが好きな人
- 主体的な人
- 目標達成思考がある人
- 洞察力がある人
- ストレス耐性がある人
営業は顧客へ自らアプローチしていくので受け身の姿勢ではなく、主体的に動き、かつ、目標達成に対しても計画的に動ける人が向いていると言えます。
また、顧客の課題や担当者を深く観察して、本質を見抜き、今起きている事象だけではなく、将来起きそうな事象も読み取らなければなりません。
さらに、営業は断られることの方が多いので、「自分には営業に向いていないな」と落ち込んでいては務まらず、その反省を生かして次に繋げられるストレス耐性が必要です。
販売に向いている人の特徴3選
販売に向いている人の特徴は以下の3つがあると考えています。
- コミュニケーションが好きな人
- 柔軟性がある人
- ストレス耐性がある人
販売の向いている人の特徴としては、営業と同じではありますが顧客と対面で話す機会が多いので、コミュニケーションが好きであることはもちろんです。
また、営業とは違って企業という看板がない個人を相手にするので、割と言いたい放題言ってくる顧客もいるため、その都度柔軟な対応が求められてきます。
そして、その過程でクレームを言ってくる顧客もいるので、ストレス耐性は必要になってきます。
営業と販売に向いてない人の特徴
先ほどとは逆ですが、営業と販売に向いていない人の特徴についてもご紹介します。
営業に向いてない人の特徴5選
営業に向いてない人の特徴は以下の5つがあると考えています。
- コミュニケーションが苦手な人
- 受け身な人
- 初動が遅い人
- 一人で悩みを抱える人
- 個人プレーが好きな人
営業には日々たくさんの依頼が来ますが、対応するのに時間をかけすぎてしまうと信頼を損ねたり、競合他社に負けたりしてしまいます。
また、営業は一人でやる仕事だと思われがちですが、提案内容を検討するときはチームを組むことも多く、人に協力を仰いでいく必要があります。
そのため、「チームプレーより個人プレーが好きだ!」という人には向いてないかもしれません。
販売に向いてない人の特徴3選
販売に向いてない人の特徴は以下の3つがあると考えています。
- コミュニケーションが苦手な人
- 短気な人
- バリバリ働いて稼ぎたい人
販売の向いていない人の特徴としては、基本的には先ほどの向いている人の特徴と反対のことになります。
不特定多数の顧客を相手にするので、コミュニケーションが苦手であれば務まりませんし、短気であればクレーム対応もできないです。
また、販売は営業より給料が低い傾向にあるのと、インセンティブがつかないケースがあるので、バリバリ働いて稼ぎたい人には向いてないと言えるでしょう。
営業と販売のやりがい
営業と販売のやりがいについても見ていきましょう。
営業のやりがい4選
営業のやりがいは以下の4つがあると考えています。
- 成果が数字に現れる
- 人との繋がりが増える
- 人とのコミュニケーションが上手くなる
- 汎用的なスキルが身につく
営業は社内外含めて人との繋がりが多い職業であり、ビジネスにおける有益な情報に触れられたり、優秀な人からスキルを盗む機会に恵まれています。
また、自分の意図した通りに物事を進めていく必要があり、その過程で人とのコミュニケーションが磨かれていきます。
さらに、営業をやることによって、仮説思考力、論理的思考力、確率思考力、PDCA力といった汎用的なスキルが身につくこともやりがいになるでしょう。
販売のやりがい3選
販売のやりがいは以下の3つがあると考えています。
- 人の人生に直接関与できる
- 人とのコミュニケーションが上手くなる
- 商品レイアウト等の販売スキルを学べる
販売のやりがいとしては、基本的には個人を相手にするので、人の人生に直接関与、感謝されるような仕事ができます。
また、営業と同じではありますが顧客と会話をする過程で、人とのコミュニケーションが上手くなります。
さらに、販売特有のものとして、店舗で働くことが多いので、商品レイアウト等の販売スキルを学べることがやりがいに繋がるでしょう。
営業と販売のきついところ
最後に、営業と販売のきついところについてもご紹介します。
営業のきついところ6選
営業のきついところは以下の6つがあると考えています。
- ノルマに追われる
- 残業が多い
- 大半が断られる
- 苦手な人からも逃げることができない
- 社内調整が多い
- 人を動かさなければならない
やはり営業は大半が断られてしまうので、断られ続けると体力的にも精神的にも辛くなってしまう場合があります。
また、案件規模によっては、社内外含めて多くの人を動かさなければならないので、それがきついと感じてしまう人もいるでしょう。
販売のきついところ5選
販売のきついところは以下の5つがあると考えています。
- ノルマに追われる
- 不特定多数を相手にする
- 立ち仕事の場合体力が削られる
- 給料が低い
- 休日は不定期
販売のきついところとしては、不特定多数を相手にするので理不尽なことを言われることもあれば、立ち仕事の場合は体力的にもきつくなってしまうことがあります。
また、営業と比較して年収が低い傾向にあったり、休みがシフト制など不定期になってしまうことにきついと感じてしまう人もいるようです。
まとめ
本記事では、営業と販売の違いである、顧客、仕事の範囲、求められるスキル、休日、年収の5つの観点について紹介しました。

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