- 営業リストってどうやって作るの?
- 営業リストってそんなに重要なの?
- 営業スキルと営業成績が比例しない。
このような悩みを解決する記事となっています。
「営業スキルは身についてきたのに、なぜか成績が伸びない」といった状態なら、営業リストを見直してみるといったことをする価値はあります。
だって、全く見込みのない顧客にアプローチをしていても、成績は上がらないのは当たり前ですよね?
ここでは、営業リストの重要性やその作り方(コツ)についてご紹介します。
営業におけるリスト作成とは?
営業の種類に関わらず、営業の基本的なプロセスは以下のようになります。
- リスト選定
- ニーズの仮説構築
- アプローチ
- 商談(雑談/ヒアリング/仮提案)
- プレゼン・クロージング
- 見込み顧客管理
営業リストとは、読んで字のごとく「営業のターゲットリスト」のことです。
営業はテレアポや飛び込み営業をして新規顧客の開拓をしていきますが、「その新規顧客へアプローチするために必要な情報が記載されたリスト」になります。
その必要な情報とは以下のようなものです。
- 企業名(個人名)
- 代表者名
- 住所
- 担当部門
- 担当者名
- 電話番号
- メールアドレス
- 訪問履歴
- etc…
実際には、以下のような営業リストを作っていきます。

ただし、これらの情報をターゲット毎になんとなく羅列させて、なんとなく上の方からアプローチをかければ良いということではありません。

具体的な営業リストの作成の仕方等は、後ほど詳しく説明します。
営業リスト作成の重要性
では、なぜ営業リスト作成が必要なのか見ていきましょう。
- 効率的に売上向上を図るため
- 顧客とのコミュニケーションが円滑になる
- 情報共有がしやすくなる
重要性1:効率的に売上向上を図るため
仕事は限られた時間の中で、最大のアウトプットを出していかなければなりませんよね。
もし、無数の営業リストの中から、やみくもにアプローチしていたとしたら、それは無数のクジの中から1本の当たりクジを当てにいっているくらい確率の低いことをやっているのと同じです。
したがって、可能な限りアプローチしたら受注確率の高いであろう顧客(=良い顧客)を事前に抽出して、優先的に営業活動をしていかなければなりません。
この「良い顧客」が明文化できて、それに基づきリストが入手できて、優先順位付けできた営業リストがあれば、効率的に売上向上が見込めることが容易に想像がつくと思います。
重要性2:顧客とのコミュニケーションが円滑になる
営業リストを作ることによって、企業(個人)毎の情報を蓄積していくことができます。
単純に企業情報等の静的情報だけでなく、「誰が」「いつ」「どのようにアプローチしたか」といった動的情報も蓄積することが可能です。
そのような情報を蓄積していくことで、次回アプローチする際に「前回、〇〇でお困りと伺ったので、それを解決できる商品を紹介させてください!」といったようにコミュニケーションのきっかけを作ることができます。

このように営業リストは、情報の蓄積ツールとしても使えるのです。
重要性3:情報共有がしやすくなる
営業リストは営業一人一人が個人的に使うものではありません。
仮に個人で営業リストを作って使っていたら、複数の営業担当者で同じ顧客へアプローチしてしまう可能性がありますし、上司の立場からしても誰がどのような営業活動をしているか分かりません。
そのため、営業リストは営業部内で共有しておけば、重複も避けられ効率も上がりますし、上司も営業リストを覗けば部下の活動状況を把握することができます。
営業リスト作成のコツ(実践編)
営業リストを作成するときステップは以下の3つになります。
- ターゲット選定
- 情報源の調査と選定
- 優先順位付け
ステップ1では、「良い顧客」とは、どんな顧客セグメントなのか、どんな共通点があるのかを洗い出し、マーケットをカテゴリ分けして、ニーズの高そうなカテゴリを抽出します。
ステップ2では、「良い顧客」をどう探すかなのですが、今はネット検索で大体のものが手に入りますし、有料で手に入れるなどありますが、コストや労力を加味しながらどのリストを使うか検討します。
ステップ3では、いくら「良い顧客」であっても、その顧客に全てアプローチすることができないので、何らかの評価基準を設けて、優先順位をつけていくことになります。

そして、これらは一度やったら終わりというわけではなく、PDCAを回して精度を上げていくことが必要です。
ステップ1:ターゲット選定
まずは「どんなリストがあるのか」ではなく、「どんな顧客をターゲットとしているのか(=良い顧客は誰なのか)」という視点でゴールから逆算して考えなければいけません。
「良い顧客」が誰なのかを明確にしていくためには、過去の自社と取引のある顧客から共通点を洗い出す方法か、「〇〇と△△のカテゴリが良い顧客ではないか?」と仮説を立てて検証をしていく方法があります。
後者の場合は、たとえば、人材・組織コンサルティングサービスを提供しているのであれば、以下のように仮説を立てていくことができます(あくまで例です)。
- どのような会社が当社のサービスに興味があるか
- もちろん、それは組織を変えようとしている会社
- 組織を変えようとしている会社は、ビジネスプロセスを変えようとしている会社
- ビジネスプロセスを変えようとしている会社は、戦略を変えようとしている会社
- 戦略を変えようとしている会社は、外部環境が大きく変わっている業界だ
- 外部環境が大きく変わっている業界は、今は自動車業界だ
- etc…
参考までに、BtoB、BtoCの営業それぞれの場合には、主に以下のように顧客のカテゴリ分けの切り口があります。
- 業種
- 売上
- 利益
- 従業員数
- エリア
- 資本金
- etc…
- 家族構成
- 性別
- 年齢
- エリア
- 不動産経営者
- 上場企業の役員
- etc…
このようにカテゴリで分けていきつつ、「良い顧客」は「IT業界、売上1,000億円以上、従業員1,000人以上」「3人家族以上、男、40代以上、目黒区エリア」ではないか?と具体的にニーズの高いカテゴリを抽出していき、検証しながら改善していきます。
ステップ2:情報源の調査と選定
次に、その「良い顧客」がどこの情報に集約されているのかを考えなければなりません。
そして、もちろんいくつかの情報源の候補が出てきた場合は、どの情報源を活用するのかを考える必要があります。
一般的に情報源としては以下のようなものになります。
- Webを活用する
- ハウスリストを掘り起こす
- 展示会に出展する
- 購入する
情報源1:Webを活用する
今やWebを使うことで、ほとんどの情報が手に入りますし、何といってもコストがかかりません。
たとえば、インターネット上でターゲットとしている業種で検索をかけると、ターゲットの顧客がいくつかヒットしますよね。
ただ、それを一つ一つ見ていくのは効率が悪いので、ターゲットの顧客がまとめて掲載されている業界団体のホームページがあれば、活用するのも一つの手です。
また、Web版の電話帳であるiタウンページは、地域で絞ることもできますし、キーワード検索もできるのでターゲットの業種を絞ることもできます。
情報源2:ハウスリストを掘り起こす
ハウスリストの掘り起こしも、コストはかかりませんし、一度接点のある顧客となるので比較的アプローチしやすくなります。
具体的には過去の放置されている名刺を改めて見返してみたり、自社で顧客を管理しているシステムがあるなら、そこから掘り起こしてみることもできますよね。
情報源3:展示会に出展する
展示会は出展するためのコストはかかりますが、そもそもその業界や商品に興味のある顧客が足を運んでくれるので質が良いのと、大量のリストが手に入るチャンスとなります。
ただし、広く認知してもらえるチャンスはあるのですが、その場でのコミュニケーションは薄くなりがちなので、展示会後のアプローチが重要です。
情報源4:購入する
購入するのでコストはかかりますが、効率良く大量にリストを手に入れることができます。
ただ、購入先によって情報源、料金など特長があるので、購入してからターゲットとなる顧客が少なかったということを避けたいので、前のステップであるターゲット選定を明確に定義してからにしましょう。
ステップ3:優先順位付け
「良い顧客」のリストが数百、数千、数万と見つけられたとしても、限られた時間の中では営業リソースを全てに割くことができないので、リストに優先順位をつけていきます。
リストに優先順位をつけるためには、同じ顧客でも複数の商品やサービスを提案する場合があるので、顧客単位ではなく顧客の商談単位で優先順位をつけ、「商談の魅力度」と「商談の障壁」といった2つの指標で見ていかなければなりません。
というのも、商談の魅力が高くても、受注することが難しいのであれば、それは良い商談とは言えません。
たとえば、「1年間ほとんど〇〇の商談に時間を費やしてやっと受注できた」となっても、費用対効果としては良くないことが分かると思います。
したがって、「商談の期待値=商談の魅力度ー商談の障壁」に対して、できるだけ基準を設けて点数化していくことが重要になります。


この合計から導かれる優先順位が先ほどの営業リストの優先順位と一致します。
- 商談の魅力度
- 商談の障壁
商談の期待値1:商談の魅力度
商談の魅力度とは「その商談から得られるメリットのこと」になります。
メリットというと、受注したときの金額が大きければ大きいほど良いと思いがちですが、他にも指標があり、業種などによっても異なってきます。
- 潜在需要
- 利益
- 実績
- 緊急度
- 競合
商談の魅力度1:潜在需要
たとえ初回の取引の金額が少なかったとしても、今後取引の拡大が見込まれる場合は、点数が高くなるでしょう。
ある製品について自社が1割、他社が9割の取引しているのであれば、残りの9割が取引拡大の余地があるということになりますね。
商談の魅力度2:利益
受注したときの利益がどれくらいなのかといったわかりやすい指標になります。
これは、単発の取引なのか、継続的に続く取引なのかによっても異なります。
商談の魅力度3:実績
取引の利益が低いからといって、優先順位を下げるのは早いです。
取引をすることによって新たなノウハウを蓄積できるのであれば、今後の会社の事業を広げていくためには有利に働くでしょう。
また、大手企業との取引した実績をつけることによって、「あの企業は大手の〇〇企業と取引しているから安心だ」と自社の信頼度を増すことによって、営業がしやすくなるといったこともあります。
商談の魅力度4:緊急度
顧客がどれだけ早くある課題を解決しようと思っているかです。
もし、来年には解決したいというスピード感であれば、定期的に状況を確認するくらいで良いかもしれませんが、1ヶ月後にはプロジェクトを開始したいということであれば、今から密にコミュニケーションを取らなければいけません。
商談の魅力度5:競合
競合がいないほうが商談が進めやすくなります。
ただし、競合がいるからといって、単純に点数を低くするのは間違いです。
たとえば、既に深い関係にある顧客において、相見積を必ず取らないといけないという決まりがある場合などは、競合がいたとしても自社が取引できる可能性は高く、必ずしも点数を低くする必要はありません。
商談の期待値2:商談の障壁
商談の障壁とは「商談を進めていく上での問題や障壁のこと」になります。
これは、営業のスキルや知識といったことが主な要因となり、「キーマンをしっかり押さえることができない」「顧客の問題が複雑のため、上手く課題の認識や解決策の提案ができない」といったことがあります。

そして、~の案件は「商談の魅力度20点(=5+4+3+4+4)-商談の障壁8点(=5+3)=12点」といったように数値化して、高いものからアプローチしていきましょう。
営業リスト作成の注意点
最後に、営業がリスト作成の注意点についても触れます。
- 商談を4つに分ける
注意点:商談を4つに分ける
上記ワークをやることによって優先順位が見えてきたと思いますが、点数が同じものをどう扱うかについて解説していきます。
まずは、以下のように4象限に分けてみましょう。

感覚的には、Aゾーンが優先順位が高くなり、Dゾーンは優先順位が低くなることがわかると思いますが、問題はBゾーンとCゾーンをどう扱うかです。
BゾーンとCゾーンは同じ点数になりがちですが、意味としては全く違うことになります。
Bゾーンは商談としての魅力が高く、障害も高いという状態なので、一人の力では難しいかもしれませんが、会社の人のサポートを受けて受注していかなければならないので、長期的な視点で考える必要があります。
また、Cゾーンは商談としての魅力が低く、障害も低いという状態なので、比較的容易に受注できるかもしれませんが、いつまで経っても売上目標に到達しないといったことが起こってしまうかもしれませんね。
まとめ
本記事では、営業リスト作成の重要性やその作り方のコツについて紹介しました。

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