- 商社営業って何?
- 商社営業の仕事内容は?
- 必要なスキルややりがいってどうなの?
このような悩みを解決する記事となっています。
私自身は、商社で4年間勤めていた頃に、自社の商品を売るメーカーの役割と他社の商品を売る商社の役割の両方を経験しています。
ここでは、その経験を活かして、商社営業の定義や仕事を同じ形態別に分類されるメーカー営業、代理店営業と比較しながらご紹介します。
商社営業とは?
商社営業とは?について、以下の2つの軸で見てきましょう。
- 種類:営業形態別の一つ
- 定義:他社の商品やサービスを仕入れて顧客に売る営業
種類:営業形態別の一つ
営業には形態別の「メーカー営業/代理店営業/商社営業」、商材別の「有形営業/無形営業」、方法別の「ルート営業/新規営業」、顧客別の「法人営業/個人営業」があります。

この中でも商社営業は形態別の一つに分類されるものになり、その他の形態に「メーカー営業」「代理店営業」と呼ばれるものがあります。
- メーカー営業:自社の商品やサービスを直接顧客に売る営業
- 代理店営業:自社の商品やサービスを売ってくれる代理店の開拓やサポートする営業
- 商社営業:他社の商品やサービスを仕入れて顧客に売る営業


この商流の最も上流にいるのが「メーカー営業」と「代理店営業」で、その下流にいるのが「商社営業」になります。
定義:他社の商品やサービスを仕入れて顧客に売る営業
商社営業とは「他社の商品やサービスを仕入れて顧客に売る営業」となります。
まず、そもそも商社には「トレーディング事業」と「投資事業」の大きく2つがあります。
トレーディング事業は、伝統的で基本的なビジネスモデルであり、仲介業者として、売り手の販売機会拡大、買い手のニーズを満たす調達を目的に取引をして手数料を得ています。
投資事業は、人材、資金、情報、経営ノウハウなどを有望な事業に投資をすることで配当などの形で利益を得ています。
既存の顧客への営業、新規顧客の開拓、仕入先の確保、マーケット分析など多岐にわたる仕事をこなしていくことになります。
商社営業の仕事内容

商社営業の仕事内容は主に以下の3つになります。
- 買い手に対する営業
- 売り手に対する営業
- 商品やサービスを探す営業
仕事内容1:買い手に対する営業
これは一般的にイメージされている営業の業務となります。
課題を解決したいと思っている顧客(=買い手)に対して、他社の商品やサービスを売る営業のことです。
メーカー営業との比較でいうと、他社の商品やサービスを直接顧客に売ることになるので、提案のアプローチが多彩にあるということです。
代理店営業との比較でいうと、他社の商品やサービスを扱う点と、直接顧客に売るという点で、主体的に顧客の課題解決に関わることができます。
仕事内容2:売り手に対する営業
メーカー等の売り手側と繋がりを持つことや継続的な販売をしていく営業のことです。
トレーディング事業として、売り手側の販売機会を拡大していくことが期待されている以上、その売り先が全く見つからなかったり販売量が少なければ、売り手側から関係を切られてしまいます。
逆に、たくさん販売することができれば、「たくさん販売してあげたんだから、少しは値引きしてよね」と売り手側に強気に出ることができます。
こうして安く仕入れることができれば、利益が大きくなっていくので、売り手側との関係性も重要になってきます。
仕事内容3:商品やサービスを探す営業
新たに取り扱う商品やサービスを探す営業のことです。
自ら売れそうな商品やサービスを探したり、買い手側の課題解決に有効な商品やサービスを探します。
そのためには、日々の情報収集や展示会・イベントの参加も欠かせません。

このような情報を買い手側に与えるだけでも、商社営業が存在している価値はあります。
商社営業に必要なスキル
商社営業ならではの必要なスキルは以下だと考えています。
- ゼロベース思考
- 問題解決能力
- マネジメント力
商社営業は、顧客の課題解決方法が無数(=他社の商品やサービスの分だけ)にあるので、今まで通りの提案だけではなく、常に新しい提案を模索しなければならないので、ゼロベースで物事を考える力が必要です。
そして、この課題解決方法が無数にあることによって、顧客の課題やその原因を的確に捉え、その原因を解消する最適な解決策を考える問題解決能力が大事になってきます。
さらに、提案する過程で、様々な仕入先を束ねて人・モノ・金・環境を管理・運用するので、マネジメント力も求められてきます。
商社営業に向いてる人の特徴
商社営業ならではの向いてる人の特徴は以下だと考えています。
- 柔軟な考えができる人
- 色々なことに好奇心がある人
- リーダーシップがある人
- 稼ぎたい人
先ほどお伝えした通り、顧客の課題解決方法は無数にあるので、常に色々なことに好奇心を持ち、柔軟な発想での提案が求められます。
その提案の過程で、様々な会社の人達を取りまとめなければいけないので、リーダシップがある人が向いてると言えるでしょう。
また、商社は年収が高い傾向にあるので、バリバリ働いて稼ぎたい人にはおすすめです。
商社営業に向いてない人の特徴
商社営業ならではの向いてない人の特徴は以下だと考えています。
- 一つのやり方にこだわる人
- 新しいことに興味関心がない人
- チームより個人で仕事がしたい人
商社営業は、顧客の課題を解決するための手段は無数に取れるにも関わらず、これまでのやり方に固執してしまっていたら商社の優位性を失ってしまいます。
これまでのやり方に固執することから抜け出すためには、新しいことに興味関心がある人でないと難しいかもしれません。
また、商社はメーカーと顧客との板挟みになり、仕事に関わる関係者が多くなる傾向にあるので、チームより個人で仕事を進めたい人にとっては辛く感じてしまう可能性があります。
商社営業のやりがい
商社営業ならではの感じるやりがいは以下だと考えています。
- 本質的な課題解決に関われる
- 問題解決能力が身につく
- 人と人を結びつけて新しい価値を出せる
- 給料が高め
顧客の課題解決の手段が多いので、本当に顧客の課題解決に必要なものを提供することができます。
そして、それは顧客の問題毎に検討していく必要があるので、案件をこなす毎に問題解決能力が身についていきます。
また、顧客の課題解決をするために、複数の企業や人を結び付けることによって、今までにはなかった解決策を見出したり、新サービスを生み出したりすることが可能になることは大きなやりがいに繋がります。
商社営業の楽なところ
商社営業ならではの感じる楽なところは以下だと考えています。
- 専門家にならなくてもいい
- 自分の頑張りが直接成果に反映される
商社営業は、顧客とメーカーを結び付けることがメインであって、商品の提案内容の検討やプレゼンはメーカー側にお任せするケースもあります。
さらに、直接顧客に商品やサービスを売ることができるので、自分の頑張りが直接成果に反映されることが楽だと感じる人もいます。
商社営業のきついところ
商社営業ならではの感じるきついところは以下だと考えています。
- メーカーと顧客との板挟み
- 多くの人を巻き込まないといけない
- メーカーがいなければ何もできない
- 飲み会が多い
他社の商材を扱い、特に制限があるわけではないので、扱う商材が多くなりそれだけインプットの量も増えてきます。
また、メーカーと顧客の間にいるので両社の調整が大変になるのと、様々な業者を巻き込みながら仕事を進めることになるのでマネジメントも大変になります。

結局、商社は仲介人なので、自分達で直接解決策を実行できないことが、もどかしくもあったりします。
商社営業の残業
商社営業の残業は、営業職の中では少ない方に分類されます。
dodaのデータによると、以下のようになっています。
営業職種 | 残業時間 |
---|---|
営業(金融) | 25.5時間 |
営業(IT) | 25.7時間 |
営業(商社) | 25.8時間 |
営業(メーカー) | 27.3時間 |
営業(メディカル) | 29.1時間 |
営業(サービス業) | 31.8時間 |
営業(建設/不動産) | 35.8時間 |
営業(小売/卸/外食) | 38.5時間 |
営業(広告・メディア) | 41.9時間 |
このように、商社営業の平均残業時間は25.8時間で、営業職の中では3番目に少ない職種となっています。
商社営業の休み
商社営業の休みは、営業職の中では多い方に分類されます。
dodaのデータによると、以下のようになっています。
営業職種 | 年間休日数 |
---|---|
営業(メディカル) | 128.1日 |
営業(IT) | 124.3日 |
営業(商社) | 123.4日 |
営業(メーカー) | 123.1日 |
営業(金融) | 122.1日 |
営業(サービス業) | 118.9日 |
営業(広告・メディア) | 116.3日 |
営業(小売/卸/外食) | 112.0日 |
営業(建設/不動産) | 110.2日 |
このように、商社営業の平均年間休日数は123.4時間で、営業職の中では3番目に多い職種となっています。
商社営業の年収
商社営業の年収は、営業職の中ではほぼ平均値になります。
dodaのデータによると、以下のようになっています。
営業職種 | 平均年収 |
---|---|
MR | 697万円 |
医薬品メーカー | 573万円 |
医療機器メーカー | 559万円 |
リース(金融) | 527万円 |
電子部品メーカー | 521万円 |
証券 | 500万円 |
機械/電機メーカー | 491万円 |
IT/通信 | 478万円 |
総合商社 | 459万円 |
銀行 | 457万円 |
化学/素材メーカー | 454万円 |
クレジット/信販 | 450万円 |
食品/消費財メーカー | 441万円 |
住宅設備/建材メーカー | 434万円 |
不動産金融 | 432万円 |
建設/不動産 | 432万円 |
インターネット/広告/メディア | 428万円 |
専門商社 | 428万円 |
保険 | 425万円 |
保険代理店 | 418万円 |
医療機器卸 | 415万円 |
小売/外食 | 411万円 |
信用金庫/組合 | 400万円 |
サービス | 400万円 |
家具/インテリア/生活雑貨 | 396万円 |
福祉/介護関連 | 362万円 |
このように、総合商社の平均年収は459万円、専門商社の平均年収は428万円で、営業職の中ではほぼ平均値となっています。
ただし、大手総合商社では平均年収が1,000万円を超えるケースもあるので、会社毎にしっかりと調査する必要があります。
まとめ
本記事では、商社営業の定義や仕事内容、必要なスキル、向いてる人、向いてない人、やりがい、きついところ、残業、休み、年収について紹介しました。

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